つくばセンターと水戸駅とを結ぶTMライナーという高速バスをご存じですか?最近茨城県はつくばエクスプレス(以下、TX)を茨城空港や水戸に延伸させようと様々な取り組みをしているようですが、ならば並行路線となるTMライナーの使い勝手はどうなのだろうと思いこのたび乗車してきました。大まかな結論としては、TMライナーで充分だろ、といった感じです。
TX開業より前からある
TXと接続するイメージが強いTMライナーですが、実はTX開業前の1998年ごろから走っています。需要があるのかないのか、増便したり減便したり、運行会社が関東鉄道だったり子会社が担当したりと変更を繰り返してきたようです。2019年からは社会実験及び利用促進として茨城県の協力?で増便したり筑波大学に乗り入れるようになりました。現在は実証実験を終了しており、平日9往復、土休日4往復となっています。
水戸駅南口からいざ乗車
今回は土休日ダイヤのTMライナー つくばセンター行きに乗りました。平日は本数が多いだけでなく偕楽園始発便があったり県庁経由ですが、土休日は県庁を経由しない代わり赤塚駅を通ります。南口は4番乗り場から発車します。
ただいまの時刻は8:15です。TMライナーは8:25発ですがもういるではないですか。と思ったら茨城空港行きでした。
仕切りなおしてやってきたのはこちらのバス。あまりバスの形式とか詳しくないですが、日野セレガ・2TG-RU1ASDAだそうです。2018年製です。
まぁ簡単に言えば新しめのよくある高速バスですね。関鉄HPでは高速バスに「乗るときに」ICカードをタッチ、と書いてありますが今回は運転手さんから「降りるときに」タッチするよう案内されました。
時刻通りに出発。この時点で客は私含め2名。案外少ないな、と思いましたが平日だともう少し多いかもしれません。水戸駅をぐるっと回って常磐線を越えて水戸駅北口に到着、ここは平日と土休日で乗り場が違うので注意が必要です。なお北口から乗る人はいませんでしたが、途中赤塚駅までのあいだに数名乗車し10名ほどでつくばへ向かうようです。
フリーWi-Fiはクソ雑魚すぎる
簡単にバス設備を紹介しておきます。使用車両によって多少異なるかもしれませんが、今回乗車したバスでは各席にコンセントがあるもののテーブルはありません。リクライニングは充分に席を倒すことができます。使用しませんでしたが車両後方にトイレがあります。
そして肝心の(?)関鉄フリーWi-Fiですが、正直かなり厳しいです。TwitterのTL更新をするとテキストは読み込まれるものの画像表示がかなり遅れます。満員のバスでみんながWi-Fiに接続しているならともかく運転手含めても3人ほどでこの遅さなのであまり期待しないほうがいいです。
余談ですが、この日はWBC準決勝日本VSメキシコの試合が8:00ごろから行われていて、つくばまでの道中にprimevideoで中継配信を見るつもりでした。画質を最低に設定してもロードが長い長い。やっっとつながったけどパラパラアニメみたいな見づらさで、しかもちょうどメキシコに先制3ランを打たれるところを見てしまいました。あぁ...これは負けたなとそっ閉じしてあとは風景を眺めるのみでした。まさかこのあと劇的なサヨナラ勝ちするとは思いもせず。侍JAPAN優勝おめでとう!
高速に乗れば早い
水戸市内のバス停をすべて通過すると水戸ICから常磐道を走ります。水戸市内のICなので名前に偽りはないですが郊外に位置しているため周辺に市街地のような雰囲気はありません。
そのまま南下すると石岡高速バス停に停車。石岡小美玉スマートICと千代田石岡ICの間にバス停があり、ここでは乗車降車どちらも可能になっています。今回は降車はなく乗車が1名でした。東京方面行きの高速バスも当バス停に止まりますが、つくばまでのバスでもそれなりに需要があるようです。
時刻通り発車し渋滞にはまることなく桜土浦ICで高速を降ります。
国道354号をすこし南下して県道55号学園東通りを西に進み、JAXAの横を通過するとまもなく終点です。
つくば市内は終点までの間にいくつかバス停がありますが今回は誰も降りませんでした。つくばセンター9:49着、ほぼ時間通りでした。渋滞無しで定刻通りでしたので渋滞にはまると確実に遅れそうです。所要時間は85分、休憩SAなしで走り抜けますがこれくらいならお尻が痛くなることもなさそう。
TMライナーと常磐線どっちがいい?
さて肝心のライバル路線、常磐線と比較するとどちらが安いのか、早いのか、気になると思います。まず前提条件として水戸駅とつくばセンターを行き来するとします。常磐線はつくばセンターを通らないので関東鉄道バスで土浦ーつくばを移動します。すると以下のようになります。
運賃と乗り換えなしの面ではTMライナーに軍配があがりそうです。電車のほうが早めに到着できるとはいえそこまで大差がなく、例えばつくばから水戸ではなくその先の日立高萩いわき方面が目的地となる場合を除けばTMライナーで充分だと思います。
TX延伸の代わりとなれるか
最近茨城県はTXをさらに北に延伸させようと躍起になっているようです。しかし延伸するには高架線か地下鉄のどちらかの方式で建設する必要があり、どちらも建設費がかなり嵩むのは誰の目にも明らかです。そして人口減少社会を迎えつつある今、田畑しかないところに線路を通して一体誰が利用するのでしょうか。確かに小美玉や茨城町など鉄道空白地帯ではラッシュ時とても混雑しますが、昼の需要なんてたかが知れています。つまり突然茨城にお金が降ってきたりなんらかの拍子に人口が爆増しない限りTMライナーで事足りると思います。そもそも現状平日9往復で積み残しを聞かない程度の利用者ならそれで充分ですよ。茨城県はTMライナーの宣伝に力を入れるべきですね。TXに夢を見過ぎです。
ただ、東京から水戸に行くというシチュエーションでTMライナーを使うという選択肢は出てこないと思います。JRだけでなく高速バスみと号がありますからね。そう考えるとTMライナーは水戸とつくば両都市に住む人にしか需要も恩恵もないということなります。その観点で言えばTMライナーをTX延伸の代わりと呼ぶには微妙な立ち位置ですが、所詮はその程度の経済規模なんですよね。ただTX延伸よりは現実的で将来性があると感じます。
終わりに
TMライナーに乗る前は、TXの延伸までのつなぎのような役目を背負わされたバスかなと思っていましたが、結局はよくある都市間バスだなという印象を持ちました。正直なところ水戸市民とつくば市民以外移動手段の選択肢に出てこないようなニッチな高速バスですが、機会があったら乗車の検討を加速してみてはいかがでしょうか。
おまけ