準快の汚部屋

クソみたいな備忘録

ただの銀世界湿原、それが面白い : 冬のひがし北海道遠征その2

このブログは前回の続きです。でもこのブログ単体で読んでも内容が理解できるように構成しています。

 

前回さんふらわあ号で苫小牧に到着し、新千歳空港駅に向かったところで終了しました。それでなぜ新千歳空港駅に来たのかというと...

こちら、「AIRDOひがし北海道フリーパス」です。今回の北海道遠征ではこのきっぷを使います。それでこのきっぷ、航空機で北海道に来ることを想定しているため、新千歳空港駅でしか購入できません。かつてはきっぷ購入にあたって、乗ってきた航空券を提示しないと購入できなかったのですが、現在はそういう制限がなくなったので私のようなフェリー利用者でも買えました。U25版を購入する場合は話せる券売機でオペレーターを呼び出す必要があります。(みどりの窓口では購入できません)

ここで買いました

千歳で一泊

こんな時間に空港行く人は皆無(逆方向は多い

出発便は残り僅か

ビックリするぐらい静かです

空港でフリーパスを調達したあとはもう夜9時を過ぎているのでさっさと宿泊地に向かいます。空港や南千歳周辺のホテルは値段が高いのでナシ。千歳駅に移動します。フリーパスは次の日から使うので、ここでは先月買ったばかりのKitacaを使用。千歳駅を降りて徒歩10分弱で到着。「遊悠館」という築2年くらい?の新しいホテルで、素泊まりシングルで4500円。次の日は朝の出発が早いのでこれくらい安くないと割に合わないかなと思って選びました。大手ビジネスホテル並みに快適だったのでオススメです。

今夜泊まるホテル

-10℃ 極寒の朝

朝7時過ぎの電車に乗る必要があるため、それに合わせて千歳駅に戻ってくると、駅前の温度計で-10℃と表示が。当たり前のように氷点下二桁数字ですね、寒い。それではここからひがし北海道パス使用開始です。特急に乗って釧路まで移動したいのですが、千歳は通過するのでまずは普通列車で移動します。やってきたのは737系2両!令和5年製造の新車です。てっきり721系が来るかと思っていたのですが、どうやらこの便のみ737系を使用していて、室蘭方面への送り込みを兼ねているっぽいです。

特急おおぞらで釧路へ

南千歳からは特急おおぞら1号で一気に釧路まで移動します。やってきたのはキハ261-1000です。二年前まではキハ283系が使用されていました。小さいころ図鑑でよく見たのはキハ283だったのでこっちに乗りたかったなぁと。まぁあとで乗るんですけどね。

釧路まで4時間近くかかるということで文字通り大移動です。本州ならだいだい都心から浜松くらいの距離感ですが、道内なのでそんなに遠い感じがしない...。

釧路までの間、少し見所さんを紹介します。まずは追分駅を過ぎて2駅目の滝ノ上駅。今回2024年のダイヤ改正で廃駅になる駅です。列車で直接訪問することを考えていましたが、普通列車が1日2.5往復しかないため行程が組みづらく断念。通過する車内から駅を見届けました。この駅は交換可能駅なので廃駅後も信号場として残っているようです。ちなみに、滝の上流にあるから滝ノ上って地名が付いたようです。そのまんまですね。

続いてお隣の新夕張駅。ここから炭鉱の街夕張につながる夕張支線が伸びていたことで知られていますが、いまでも線路跡はそのまま残っているようです。積雪でちょっと分かりにくかったですけどね。そして当駅から新得駅までは普通列車が一切存在しない区間となります。

占冠駅を過ぎると、根室本線と合流します。車内からその線路が見えるはずと思って窓に張り付いて目を凝らしてみましたがほんとに一瞬でしたね。それに向こうの線路は2016年以降災害のため一度も列車が走っておらず、まったく除雪されていないので意識して見ていないと見逃してしまいます。

南千歳を7時20分に出発して約2時間。帯広に到着です。国鉄時代はここから南に国鉄広尾線、北に国鉄士幌線が伸びていました。実は2月に北海道に行った際にここからバスに乗り換えて国鉄士幌線の有名な鉄道遺産であるタウシュベツ橋梁を見に行く、という計画を立てていたのですが、今年は暖冬のためかあまりにも水位低下(雪解け)が早く、橋梁を間近で見ることができなくなってしまったため今回は断念していました。

黒煙を上げて湿原へ

帯広を出て池田に止まると、次は終着釧路です。ここからSL冬の湿原号に乗ります。釧路駅11時5分発で、乗り換え時間は8分しかありません。ただ乗り換えるだけなら充分な時間ですが、乗る前に色々外観とか見たいじゃないですか。そうやって先頭から最後尾まで周っていると、もう発車時間です。今回の牽引機はC11 171号機で、最後尾に補機としてDE10 1660(くしろノロッコ塗装)が連結されていました。最近SLの調子がよくないらしく、万が一の事態に備えて連結しているようです。

補機が連結されています

車内のカウンターで特製コーヒーを購入していると、ちょうど発車しました。最初にSLの汽笛が鳴り、そのあとにDE10の汽笛が鳴ります。一度で二度おいしいですね(?)。発車してまもなく釧路川の橋梁を渡ります。平日ですが撮り鉄が多いですね。

SL冬の湿原号は5両編成で、3タイプの座席があります。このうち釧路川と並行するように配置されたカウンター席が一番の人気で、最も予約が取りにくいです。で私はこのカウンター席を10時打ちせずに運よく取ることができました。乗ってみた感想としては、車窓を見るうえで遮るものがなく、またちょうどいいクッションでとても快適でした。眺めていると時々エゾシカやニホントリテツが見えましたが、特に急ブレーキや急停止もなく定刻通りに運転していました。そういえば客車のクセに快速エアポートと同じくWi-Fiが飛んでいました。といってもさすがに湿原ど真ん中あたりでは通信死んでましたけどね。

SL連結側撮るのをわすれていた

数少ない平日運転のためか若干乗客は少ないです

私が座ったカウンター型の席

冬の湿原を眺められます

このSLは標茶まで運行されていますが、今回は終点まで乗りません。手前の茅沼駅で降りました。この駅は無人駅で、普段の利用客数は1日2人程度とかなり過疎っています。そのため廃駅が検討されていますが、当面は存続する見通しのようです。ではなぜこんな過疎駅にSLが停車するのか、それは、国の天然記念物「タンチョウ」の給餌が駅前で行われており、高確率で飛来するためです(多分)。駅員が常駐していた時代に餌付けを始めて以来、タンチョウがやってくるようになり、無人化した現在では地元の方が餌付けを行っているようです。SL到着時は1羽もいませんでしたが、しばらくすると2羽飛んできました。駅周辺は数軒の建物がありますが、おそらくほとんど住んでいないと感じるくらいには静かでした。あまりにも静かなので、音を立ててタンチョウを驚かせないよう慎重に撮影していました。駅舎は利用者数の割に(?)、立派な三角屋根のログハウスでできていて、とても風景に馴染んでいます。

茅沼で降りたのは多分私だけ(ほかの人は地元の人?)

ホーム上からタンチョウが見れます

ログハウスの駅舎です

特に快くも速くもないしれとこ摩周号

このあとは標茶からやってくる快速しれとこ摩周号で釧路に戻ります。実はSLで標茶まで行ってもこのしれとこ摩周号に乗れるので、おそらくSL乗車組と思われる人たちで車内は大混雑でした。快速を名乗っていますが、通過駅は原生花園と細岡のみ(上りは釧路湿原も通過)で、原生花園はシーズン時以外通年、細岡は冬季全列車通過なので事実上普通列車と変わりありません。快速要素がまるでないこの列車ですが、2024年のダイヤ改正でついに「快速」の名が外され、現在は(ただの)「しれとこ摩周号」として運行しているようです。

東釧路まで乗ります

地形が入り組んだ牡蠣の街

終点まで乗らず東釧路駅で下車。ここから花咲線に乗ります。時刻表通りならここですぐに花咲線に乗り換えできるはずなんですが、なぜか列車が来ていません。待つこと約10分、キハ40がやってきました。おそらく特急おおぞら号からの乗り換え客待ちで遅れてたっぽいです。

東釧路では10人くらいが乗り換えでしたが、見た感じほとんどが私と同じ観光客のようです。みなフリーパスを提示していました。ここから根室...には行かず、厚岸駅で下車します。

始発も設定されている厚岸駅で下車

この駅は花咲線の途中駅唯一の有人駅で、さらに駅構内に跨線橋を有する最東端駅でもあります。ここで下車した理由は単純で、「なんか地形がめっちゃ好み」と感じたからです。

改札横にある木製の地図

写真でよく見ていただきたいのですが厚岸町の中心街は一本の大橋の両岸に広がっており、一方は湖に、もう一方は太平洋につながるというとてもおもしろい地形をしていると思いませんか...?たぶん大半の人には伝わらないというか何言ってるんだコイツって思うでしょうがいいんです。とりあえず私はGoogleマップでこの地形を見てから絶対行きたいと考えていました。まずは駅近くの道の駅「コンキリエ」に向かいます。時刻はもう14時を過ぎて腹ペコなので先に昼食をとります。

駅横の階段を登ると道の駅です

 

厚岸町は牡蠣の町らしく、牡蠣料理のメニューがこれでもかと並んでいます。偏見ですが牡蠣は当たりやすいと聞くので生牡蠣は避けて、選んだのはカキコロバーガー。ポテト付きで650円(だった気がする)とそこそこリーズナブル。

牡蠣が見えてないけど入ってます

道の駅は展望台も兼ねていて、美しい港町を見ながらお食事することができます。このあと歩いて厚岸大橋を渡り、長い長い階段を登ってもう一つの展望台へ向かいます。道中ではエゾシカとばったり遭遇しました。刺激しないようゆっくり遠回りして避けました。海沿いかつ住宅街でも当たり前のようにいるんですね。

登ろうとしている階段の入り口に立ちはだかるエゾシカ

そうしてやってきたのはお供山展望台です。ここでは厚岸湖全景と厚岸大橋、厚岸駅などが見渡せます。

こちらが厚岸湖

湖に謎の神社?が(中央右の赤いやつ)

ここにたどり着くまでの階段があまりにも長すぎて心臓が破裂しそうな勢いでしたが、歩いてきた甲斐がありました。本当にいい景色。でも...めっちゃ寒い! 潮風が強く吹き付けてくるのでとんでもなく寒いです。ちなみに厚岸や根室など道東は比較的積雪が少ないことで知られ、道路わきに寄せられた雪が少ないなと感じていました。といってもさすがに海沿いは寒いです。

登頂記念にセコマの人気商品オレンジソーダで乾杯

いい景色ではありますが、ほとんどの観光客は根室に行ってしまうのでこんなところに観光客はまったくいません(平日というのもあるでしょうが)。と思っていたのですが、ここで二人の外国人がやってきました。

いきなり出川イングリッシュ

「コンニチワ~」海外ニキから日本語で話しかけられました。とりあえず挨拶を返すと、流れでいろいろお話する感じに。彼らはアメリカ人で、どうやら現在は北海道に在住しているとのこと。そのため片言ながらもある程度は日本語が使える模様。といっても気を遣ってもらってなんか申し訳ないので、こちらもなんとか英語を使ってみるも単語しか出てこない...。途中から英会話教室になってたかもしれません。10分くらい話した後、別れて駅に戻ります。

列車が来るまでまだ時間があるので、道中で見つけた海事記念館なる建物に入ってみました。時間的にあとちょっとで閉館でしたが、どうやら今日の来館者は私たった一人だけとのこと。まぁ平日だからね...。

厚岸町にまつわるちょっとした解説ですが、町の南側には2つの島があります。それぞれ大黒島、小島と呼ばれています。ここは日本郵便が「交通困難地」に指定していて、「特に交通困難、または経営上利益を得ることが困難であるため周年又は一定期間内通常の方法により郵便物を配達することができない地域として当社が別に定めるもの(郵便約款第79条)」としている住所になります。北海道では厚岸と礼文島の一部集落が指定されています。大黒島は現在許可なく立ち入ることはできず、小島は夏季のみ居住者がいるようです。

大黒島の模型です

厚岸は中心街以外険しい地形であることがわかります

厚岸町役場前にいたエゾシカ

時間が来たので厚岸駅に戻ります。有人駅ですが15時以降は無人のようで窓口が閉まっています。ホーム上で列車を待っていると、どこからか係員がやってきました。シカ衝突で15分くらい遅れているのでまだ待合室にいていいですよとのこと。列車が近づいたらまた放送しますとわざわざ伝えに来てくれました。窓口を閉めているといっても係員はいるんですね。

次は夏に来ます

遅れること約20分、キハ40がやってきました。東釧路から厚岸に来た時に乗ったヤツが戻ってきたようです。ここから約1時間かけて東釧路へ戻り、ここで下車。当駅で釧網線の網走行き(現在は川湯温泉止まり)に乗り換えることもできますが、日没で何も見えないので釧路で泊まることにします。

厚岸駅から釧路方を見る

はじめての快活泊

夜の東釧路

釧路駅より東釧路駅から歩いたほうが近いので終点の手前で降りました。この快活は日本最東端の店舗みたいです。ただ残念ながら鍵付完全個室はありません。ブースに泊まります。快活自体は初めてではないですが、宿泊目的での来店は初めてです。釧路周辺はなかなか安い宿がなかったので思い切って快活にしてみました。目の前にはイオン釧路店があるので食糧調達しやすいですね。

これが日本最東端の快活です

今回のブログはここで終わり。残り3回のブログ配信は1日ごとに区切りたいと思います。

次回→

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